感染症防ぐ手洗い、出来ていますか?

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インフルエンザや風邪が流行る時期。いまいちど感染症予防に効果的な正しい手指の洗浄・消毒方法を知っておきましょう

インフルエンザは国内で年間1千万人以上が感染するといわれており、12月から2月にかけて患者数が増える。この時期は風邪やノロウイルスによる感染性胃腸炎などにも注意が必要だ。

インフルエンザや風邪の主な感染経路は、くしゃみや咳による飛沫感染。一方で、ウイルスが付着したものに触れた手で目や鼻、口に触れることで間接的に感染する接触感染も、見逃せない経路だ。ノロウイルスも飛沫や接触で二次感染を起こす。

接触感染の予防に欠かせないのが手洗いだ。聖マリアンナ医科大学感染症学講座の国島広之教授は「インフルエンザの感染リスクは、せっけんを使った手洗いを15回以上すると3割ほど減り、10回以上だと5割程度減るという報告もある」という。

インフルエンザワクチンによる発症防止効果が4割前後といわれることを鑑みると、日常生活で簡単に実践できる手洗いの予防効果は侮れない。特に「外出の後や調理の前後、食事の前、トイレの使用後には手を洗う習慣をつけることが大切」(国島教授)ワクチン接種と伏せて、積極的な手洗いを心掛けたい。

加えて正しい洗い方をすることも肝心だ。国島教授が手洗いの心得のある医療従事者を対象に行った調査でも「親指や指先、小指側の側面などに洗い残しが多くみられた」という。こうした部位もきちんと洗えるよう、洗い方の手順を覚えておこう。

 

 

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 手を水で濡らした後、手のひらでせっけんをよく泡立てて全体をこする。

 

 続いて手の甲や指先、つめや指の間、親指、手首と小指側の側面の順に20~30秒かけて洗う。

 

順天堂大学大学院感染制御科学の堀賢教授は、「誕生日の歌『ハッピーバースデートゥーユー』を1回歌うと10秒。これを2~3回歌うのを目安にするといい」と助言する。

洗い終わった後は流水でせっけんをよく洗い流し、手を拭く。「タオルは出来れば各自用意し、共有は避けたい。ペーパータオルを使うのが理想的」(堀賢教授)

 

 

くしゃみや咳をするときに手で鼻や口を覆った後や、手に汚れが付着しているのが見えるときは、せっけんを使う手洗いが基本だ。堀教授は「目に見える汚れがなければ、手や指の消毒用のアルコール液やジェル剤での消毒でも同等の効果がある」と話す。

アルコール消毒液やジェル剤を使うときは、くぼませた手のひらに500円玉大の量を取り、指先をつけてよくなじませる。その後、手のひら側と手の甲側の全体、指の間、親指、手首と小指側の側面に広げて、すり込んでいく。

アルコール消毒液は、頻繁に使うと皮脂が奪われて、皮膚がガサガサになりやすい。手荒れが気になる人は保護剤や軟化剤の入ったジェル剤がおすすめだ。

石鹸で手を洗う時も、直接手に取ると手荒れの原因になる。手を水で濡らしてから洗うのが、せっけんをよく泡立てるためでもあるが、「手荒れの予防が一番の目的」(堀教授)

最近は携帯サイズのアルコール消毒液やジェル剤も多く市販されている。堀教授はそれらを持ち歩き、電車のつり革につかまった後などに使っているという。通勤時や外出時には、バッグやポケットに用意しておくといいだろう。

ノロウイルスはアルコール消毒が効きにくい。身近に感染者がいるときは、手洗いの回数を増やすなど工夫しよう。(ライター 田村知子)

 

出展:日本経済新聞

参考画像:厚生労働省手洗いポスター

時事

投稿者: 永田