清水建設は4日、作業員による石こうボードの切断作業をアシストする「シミズ・ボードスプリッター」を開発したと発表した。
装置を使うことで簡単な操作で効率的に、断面がきれいなボードを加工できる。手作業と比較して切断効率が最大で1・5倍向上する。
現場で1万枚以上の石こうボードの切断に適用し、作業効率向上などの効果を確認した。
シミズ・ボードスプリッターは、石こうボードを固定する把持機構、把持した石こうボードに2本のカッターで両面から切り込みを入れる切断機構、切断形状や作業指示を入力するタッチパネルなどで構成する。
作業員が石こうボードをセットしタッチパネルに切断形状と寸法を入力すると、2本のカッターが同調し、石こうボードの両面から切り込みを入れる。切り込みを入れることで石こうボードは手で軽く触れる程度できれいに折れ、容易に切り離せる。
切り込みを深くすることで切断面もきれいに仕上がるという。
現場に装置を導入したところ、手作業に比べ歩掛かり(単位時間当たりの作業量)は平均で12%、切り込み箇所が多くなると50%以上向上した。
装置はボードを完全に切断するのではなく、切り込みを入れるだけなので、粉じんの発生量が少なく、切断面には凹凸がなくなり、やすり仕上げも不要になる。市販のカッター刃を使用しているためランニングコストも低く抑えられるという。
今後は装置を石こうボードの切断作業が多いRC造の集合住宅や病院の作業所に導入する。
将来的には作業所内に石こうボードの切断作業を専門に行うヤードを設け、石こうボードの加工と施工とを分離することで一層の生産性向上を図る考えだ。
通常、ボード張り工は作業時間の約3分の1をボードの切断に費やす。
切断作業は切断形状が複雑になると効率が下がり、電動のこぎりの使用により大量発生する粉じんの回収に手間がかかることや、切断面に生じる凹凸をならすやすり掛け作業を伴うことなどが課題だった。
(出展:日刊建設工業新聞 2020年11月5日3面)
(写真引用:https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2020/2020034.html)