夏のマスク、熱中症注意 渇き感じづらく脱水…適切な水分補給を

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新型コロナウイルス感染症が拡大する中、熱中症の増加を危惧する声が上がる。気温上昇に加え、マスク着用で熱がこもり、熱中症のリスクが高まるのでは―との懸念があるためだ。搬送数が増えれば医療・救急の現場が逼迫(ひっぱく)する恐れもあり、県内の医療従事者や消防関係者は適切な水分補給などを呼び掛けている。

「マスクをすると換気が悪くなる。運動時は外した方がいいし、着用する場合はしっかり水分を取れる環境を整える必要がある」。救急対応で熱中症患者を診ることが多い福島市の大原綜合病院総合診療科主任部長の川井巧さん(41)は、熱中症のシーズンに向け指摘する。

マスクと熱中症の関係性については「研究情報がなく医学的にはっきりしない」と慎重な立場だが、外す手間や近くの人への気遣いからマスクを取るのをためらうことで「水分を取らないケースにつながる」と懸念を抱いているという。

「このまま熱中症シーズンを迎えたら、医療現場は崩壊します!」。全国の医師らでつくる「教えて!『かくれ脱水』委員会」は、気温が一気に上昇した大型連休中に熱中症対策を全国民で行うよう緊急提言した。

医師らが心配するのは、外出自粛やマスク着用の影響。運動不足で水分をためる役割がある筋肉が減り、脱水状態になりやすくなるほか、マスク着用で喉の渇きを感じづらくなり、知らないうちに脱水が進む―と分析する。

熱中症の搬送者が増えた場合、新型コロナで逼迫する医療現場の危機がさらに加速すると指摘、熱中症予防のポイントを挙げながら「自分にできることをして、医療機関にかかる機会を最小限にしてほしい」と呼び掛けている。

懸念の声は、救急現場からも上がる。患者の搬送に時間がかかる事例が増えるなど、新型コロナの影響とみられるケースが既に県内でも出始めているためだ。

郡山地方消防本部によると、管内では4月、救急搬送で医療機関に問い合わせてから受け入れ先が決まるまで30分以上かかったケースが前年の3倍近い250件まで急増。病院側が患者の症状を詳しく聞き取り、受け入れを準備することが主な理由という。

福島市消防本部の斎藤丈児救急課長は「家の中でも熱中症になる可能性がある。落ち着いて水分補給や冷房を使用してほしい」とし、「呼吸困難や自分で動けない状態以外であれば、保健所や帰国者・接触者相談センターに連絡してほしい」と呼び掛ける。

出典:福島民友新聞 みんゆうNet 2020/5/18

時事

投稿者: 永田