外壁タイル再利用技術開発

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竹中工務店は17日、ビルの外壁などに使われるタイルを再生利用する技術を開発したと発表した。タイルを剥がした後、裏面に付着したセメントモルタルを除去するため、塩酸水に漬け込む。2?4週間でモルタルを溶解することが可能で、タイルを破損せずに効率よくきれいにできるのが特徴だ。札幌市で施工中の改築工事に初適用した。歴史的建築物や顧客の思い入れが強い建物の保存・修復に有効として、積極的に採用を提案していく。

文化的に価値のある建物では、既存のタイルを廃棄せずに再利用することがデザインや価値を継承する上で重要になる。タイルの裏面には、接着材のモルタルが付着しており、素早くかつ丁寧に除去する技術が求められる。研磨でモルタルを除去する方法は手間がかかり、破損も多い。新しくタイルを焼き直すとコストがかかり、色や風合いを維持することが難しい。

開発した技術は「モルトール」という名称。タイルは耐薬品性に優れる一方、モルタルはアルカリ性のため酸に弱いという性質に着目。水で10倍に希釈した塩酸に漬けておくことでモルタルを除去でき、色や風合いを変えることなく、タイルの再利用を可能にする。塩酸に漬けた後に再度水に漬けることで、タイルの接着性を確保できるという。

初適用したのは、1926年に建てられた北海道庁立図書館をカフェ・店舗「北菓楼 札幌本館」に改築するプロジェクト。通りに面した南、西側はタイル張りを基調とした外観で、札幌北1条通りのランドマークとして市民に親しまれている。耐震性や機能性を向上させると同時に、経年劣化が進むタイルや塗装を修繕・更新する。

解体する北側の壁面から取った約1000枚のタイルをモルトールで再生。保存する外壁面のタイルの張り替えに使う。改築後の新しい建物は、地下1階地上4階建て延べ1351平方メートルの規模で、基本デザインは安藤忠雄建築研究所、設計・施工は竹中工務店が担当している。工期は15年2月18日?16年2月29日。

日刊建設工業新聞2016/2/18

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