2つの重要法が相次ぎ施行

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2016年4月1日に建築物省エネ法が一部施行、6月1日に改正建築基準法が完全施行となる。
設計者など、実務者に大きな影響を与えそうだ。
改正建基法は、これで一段落付く。今回は旧38条の廃止で既存不適格になった大規模建築物を救済するものが目立つ。増改築をしたくても、費用面で二の足を踏んでいる発注者は多いはず。改正を受け、市場が動き始める可能性は高い。

◆改正建築基準法
○規制緩和(2016年6月1日施行)
・既存不適格なまま増築などができる対象建物を追加
・型式適合認定を受けることの出来る対象の拡大(プレハブ住宅でエレベーターなどを選べる認定を想定)
など。
≪背景≫既存不適格の超高層ビルなどで増改築が進まないことと、国内産業の活性化に向けた大型木造建築の推進がある。
○厳格化(2016年6月1日施行)
・高齢者・障害者の終身施設、不特定多数の利用施設で、定期報告を要する建物などの指定がされる。
…一定の昇降機や防火設備など。
≪背景≫火災による死亡事故の発生がある。

◆建築物省エネ法
建築物省エネ法は、今年は誘導措置が施行。省エネ基準への適合が義務付けられる2017年春に向けて発注者の意識を高める助走期間といえる。省エネ基準が明示されたので準備をしておくことが必要。
○規制措置(2017年4月施行予定)
・住宅トップランナー制度…住宅事業建築主に対して、その供給する建売の戸建て住宅に関する省エネ性能の基準(住宅トップランナー基準)を定め、省エネ性能の向上を誘導。
・一定規模以上の非住宅建築物の省エネ基準適合義務。
・その他、一定規模以上の新築、増改築にかかわる計画の所管行政庁への届け出義務。
○誘導措置(2016年4月1日施行)
・エネルギー消費性能の表示…所管行政庁の認定を受けると、その旨を表示することが出来る。
・省エネ性能向上計画の認定、容積率特例…所管行政庁の認定を受けると、容積率の特例(※)を受けることが出来る。(※省エネ性能向上のための設備について通常の建築物の床面積を超える部分を不算入)
≪背景≫建築部門のエネルギー消費量が全体の1/3まで増加したこと。東日本大震災以降のエネルギー需給のひっ迫がある。

◆長周期地震動対策
長周期地震動対策では、大臣認定の運用を見直し超高層ビルと免震建物の新築時に、南海トラフ巨大地震を踏まえた構造計算を求める。
○南海トラフ地震対策(2016年2月末、意見募集締め切り・2017年度以降、認定の運用見直し)
・新築の超高層建築物、免震建築物…長周期地震動による構造計算や家具の転倒防止対策を行う。
・既存の超高層建築物、免震建築物…安全性の再検証や、基準に満たない場合は補強。
○相模トラフ地震対策
・新築の超高層建築物、免震建築物…南海トラフ巨大地震対策にとどまらず、十分に余裕のある設計が望ましい。
≪背景≫南海トラフ沿いでM8?9級の地震が発生する確率が、今後30年以内に70%程度であること。

(2016/2/10日経アーキテクチュア)

時事

投稿者: sc