好調な建材は、「省エネ住宅ポイント」の対象になる機能を持ったものや、「リフォーム」向けの建材だそうです。
住宅向け資材が高値圏で推移している。特に、壁や床などの下地に使う国産合板は半年ぶりの水準。断熱効果の高い複層ガラスの価格も上昇傾向。省エネ住宅の購入を促す「省エネ住宅ポイント」など政策効果の影響で持ち家やリフォーム向けの需要が上向いている。当面堅調に推移しそうだ。
国産の針葉樹合板の国内価格(東京・問屋卸)が高い。現在1枚880?900円と直近安値の7月上旬と比べて9%上がった。新設住宅着工戸数は消費増税に伴う駆け込み需要の反動減が和らいだ影響で、8月まで6カ月連続の前年比プラスになった。在庫が減少し需給が締まっている。
リフォーム向けが多い住宅資材も堅調だ。複層ガラスの卸価格は、厚さ3ミリの板ガラスを2枚使ったもので1平方メートル3500?4000円程度。「3500円程度が中心だったが、現在は4000円に近い水準が増えている」(ガラスを扱う販売業者)。改修などの際に排水管に使う塩化ビニール管は、原油安で樹脂製品が全般に下落する中で国内価格は横ばいだ。
出荷も伸びている。針葉樹合板の5月の出荷量は20万1218立方メートルと、14年3月以来の前年同月比増となった。特に6月以降の出荷量は月末在庫量を上回るほどだった。住宅着工が上向いているうえ「省エネ住宅ポイントの効果が出ており、不足感が強まる可能性がある」(建材問屋)。
複層ガラスでは「新築向けは一巡感があるがリフォーム用の販売が増えている」(建材の流通業者)。塩化ビニル管・継手協会によると、8月の塩化ビニール管の出荷量は前年同月比9.6%増加し、4カ月連続で前年を上回った。積水化学工業の担当者は「生産設備の稼働率も高水準。現在の塩ビ管出荷は前年比で5%程度多い」と話す。
新設住宅着工戸数は1?8月までで前年同期比2.9%増。省エネ住宅ポイント制度などの政策支援もあって持ち家などが回復傾向にある。リフォーム需要の拡大も当面続く見通し。調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)は、住宅リフォームの市場規模は20年に7.3兆円と14年比9%増えると予測している。
(日本経済新聞2015/10/23)
?省エネ住宅ポイント
省エネ住宅の普及に向けて国が3月に申請受付を開始した。省エネ性能を上げるリフォームなどをした場合に、商品券などと交換できるポイントを発行する。申し込みの増加により、今月21日に申請受付を終了した。