経済産業省は国際標準化やJISの制定・改正を目指す技術やサービスのうち、土木・建築分野の3テーマを対象に今春公募した原案作りの委託先機関を決めた。実施期間は原則3年以内とする。3テーマとも建設現場の品質確保・向上や市場拡大という観点から、先端技術などを標準化する有効性を認識。民間だけでは難しい標準化活動を国の事業として後押しする。
土木・建築分野の3テーマと原案作りの委託先機関は、▽断熱用吹き付け硬質ウレタンフォームのJIS開発=日本プラスチック工業連盟▽生コンクリートのJIS(A5308)と調和し、国際市場性に富んだコンクリ製造のISO規格(22965)の標準化=日本コンクリート工学会▽コンクリ構造物補強用繊維強化プラスチック(FRP)シートの分類に関する国際標準化=日本化学繊維協会。いずれも経産省の2019年度新規標準化テーマに位置付けられる。
建築用断熱材として使われる断熱用吹き付け硬質ウレタンフォームのJIS開発は、吹き付け施工後の熱伝導率経時変化について測定方法と基準を規格化。建築主への引き渡し時、断熱性能を特定できるようにする。より確実性が高い建築用途の仕様に適した製品の選定や、現場の品質管理にも役立てる。
コンクリ製造に関するISO規格の標準化は、コンクリの種類や品質、製造方法、運搬などで規定内容が大きく異なる生コンJISの内容に整合させる。国内と同水準の高い品質を持つ生コンを海外でも取り扱えるようにする。国内の緻密な規格体系に慣れている日本企業が海外で建設工事を請け負う際に強みを生かせるようにする。
コンクリ構造物の補強材として使われるFRPシートの分類に関する国際標準化は、FRPシートの寸法や機械的性能の仕方を明示した製品分類のISO規格を制定する。既にFRPシートの仕様の決め方と性能評価試験方法がISO化されている。より明確に日本製品の優位性を示し、ユーザーが安心して選択・使用できるようにする。
出典:日刊建設工業新聞 2019/7/16