◇今年も官民予防対策キャンペーン展開
2018年に熱中症で死傷した建設業就業者が225人に上ることが、厚生労働省の調査結果(速報)で分かった。14年からの5年間で見た場合、昨年の死傷者は突出して多い。厚労省は昨夏に全国の広い範囲で記録的な猛暑日が続いたことが、死傷者増の要因と見ている。厚労省は17年に初めて企画した官民合同の予防対策推進キャンペーンを今年も5~9月に展開。4月は準備期間、7月を重点月間とする。
調査結果は1月15日時点の速報値をまとめた。18年に全業種の職場で熱中症によって死傷した人の数は計1128人。前年と比べ2倍超の584人増となった。400~500人台で推移してきた過去5年間で見ても突出して多かった。全業種の死亡者数は29人。前年比で15人増となったが、過去5年間では15年と同数だった。
建設業就業者の死傷者数は225人。前年より大幅に多い84人増となり、全業種の中でも最多だった。前年まで100人台で推移してきた過去5年間の平均を大幅に上回った。死亡者数は前年比2人増の10人となったが、過去5年間では15年(11人)より1人少なかった。
厚労省は熱中症による建設業などの死傷者数が大幅に増えた要因について、昨夏の記録的な猛暑を挙げる。気象庁によると、昨年6~8月は全国的に平均気温がかなり高かった。東日本は1946年の統計開始以降、最高を更新したという。死亡者の大幅な増加を抑えられた要因については、「キャンペーンの活動などを通じ、熱中症の重大性と対策内容が浸透してきているのではないか」(労働基準局安全衛生部労働衛生課)と分析する。
厚労省は、5~9月に官民合同の熱中症予防対策を「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」と銘打って展開する。共同主唱者として建設業労働災害防止協会(建災防、錢高一善会長)が名を連ねる。既に建設業などの関係団体にキャンペーンへの参加を要請済み。今年はIoT(モノのインターネット)搭載機器を活用した的確な作業管理を強く働き掛ける。関係団体に出した要請文書には、参考資料として休憩時間の望ましい取り方も記載している。
出典:日刊建設工業新聞2019/2/28