【坪拾い】屋根伏せ:「桁上げ・下げ」機能を使いこなそう!特訓用練習問題

屋根伏せ図モードの【桁上げ・下げ】機能が難しくてなかなか使いこなせません。

「桁上げ・下げが難しい!」という声はよくユーザー様から頂きます。
母屋下がりを設定したり、棟を移動させたり、さまざまな働きがあるので覚えるのが大変かもしれませんね。
屋根伏せ図モードの習得は物件数をこなしていただくのが一番の近道です。
「桁上げ・下げ」を使った例題を4つ用意しましたので、特訓してみませんか?
徐々に難易度を上げていきますよ~


桁上げ下げ 練習問題一覧

問題の図面、解説(作図のポイント)、完成図を用意しています。
+ボタンを押すとレベルごとに表示されます。

図面をダウンロード → 坪拾いの屋根伏せ図モードで作ってみる → 解説と完成図で答え合わせ
の流れでチャレンジしてみてください。


c Expand All C Collapse All

※【桁上げ・下げ】を使うのは大屋根のみです

図面ダウンロード


解説

★この屋根の作図ポイント
母屋下がり部分を桁下げする!

この屋根は南側の一部の軒が落ちている形状となっております。
立面図の東面にも「母屋下り」900mmの寸法が記載されています。
母屋下がりは桁下げで設定できます。下がっている軒を選び、「桁下げ・900mm」で設定しましょう。

※母屋下がりについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

完成図

図面ダウンロード


解説

★この屋根の作図ポイント
桁上げをして棟の位置を揃え、バラバラの面を一面にする!

今回は南側の一面の軒が他の軒の高さより上がっていることが分かります。
そのためその軒を「桁上げ」する必要があります。
桁上げする寸法としては、基準の軒の高さの位置と揃えてあげるのがポイントです。

※桁上げ下げで棟を揃える方法についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

完成図

レベル1・2の操作を組み合わせたような屋根です。難易度アップ!

図面ダウンロード


解説

★この屋根の作図ポイント
南面と北面の軒を桁上げ、かつ北面の母屋下がりを桁下げに設定する

北側の母屋下がりが900mmと指定がありますので、桁下げ900mmで設定します。

基準となる2Fの軒高より高い位置にある軒は、桁上げを設定するのがポイントです。
今回の図面では、南と北の軒にそれぞれ桁上げが必要です。

完成図

最後はチャレンジ問題。
一見複雑ですが、軒袖変更と桁上げがしっかりできていればシンプルな操作で完成します。

図面ダウンロード


解説

★この屋根の作図ポイント
切妻部分を袖に設定

桁上げする軒を見極める!

まずは桁上げ下げをする前に、軒袖変更です。
東面、北面から確認できる切妻部分を「袖」に設定しましょう。

※西側のケラバ(ピンクで囲んだ袖)はのちの桁上げで自動的にケラバになるため設定してもしなくてもどちらでもOK。
現状の棟の位置を分かりやすくするために設定しています。

次に南面、東面、北面の基準より高くなっている軒を「桁上げ」します。
基準の位置の軒に合わせてクリックで揃えましょう。

桁上げする場所が分かりづらい方は、どの位置に棟を動かしたいか、で考えるもの1つの方法です。
坪拾いでは必ず軒と軒の中央になるように棟が配置されますので、動かしたい棟の位置から桁上げ・桁下げの位置を逆算して考えて動かす、でもよいでしょう。

完成図



レベル1~4の各屋根の作図手順を1から答え合わせしたい場合は、下記資料をご確認ください。

レベル1~4 屋根伏せ作図手順.pdf




【坪拾い】屋根伏せ:片流れ屋根の線がうまく描画されないときは

下の図のような南向きの片流れ屋根を作ったのですが、屋根の線が出てこないです。
屋根材割付をしても何も配置されません…
どうしたらいいでしょうか⁉

申し訳ございません…。凹凸のある屋根の場合、片流れでもうまく線が描画されない場合がございます。
このような場合の対処法をご案内しますね。


片流れ屋根の線が描画されないときの対処法

補助線画面へ】を押して進みます。

【軒線作成】を選択します。
赤く表示された外壁線の属性を1つずつ選んで設定してください。
属性ボタンを押すときは、勾配・出幅を正しい数値に合わせながら設定します。
すべて選択し終えると、外壁線の周りに屋根の補助線が表示されます。

補助線を使った場合、屋根材の自動割付はできません。
【部材配置】モードに切り替えます。
「屋根面積」を選択し、[多角形]モードで先ほど作った補助線の頂点をなぞっていきます。(※勾配注意!)
始点の1点前の点でダブルクリックすると、面積確定となります。

面積を配置し終えたら、最後に【部材配置】をクリックします。
【軒線作成】で設定した属性の役物が自動で配置されます。


補足
面積を手動入力すると面積の流れ方向が必ず上下方向になります。
左右の流れ方向に設定したい場合は、面積を右クリックして「張り方回転」をします。
90度で[OK]を押してください。(斜めの割付はできません)




【坪拾い】屋根伏せ:桁上げ・下げの寸法が分からない時の裏技

 <軒の高さが違う屋根を書きたいですが、いくら桁上げ下げしたらいいか図面に記載がないので分かりません…

 <基本的に桁上げ・下げは軒と軒の中央に棟が配置されるように計算して桁を上げる(下げる)のが鉄則です。

 <軒と軒の中央に棟が配置されるように、とはどういうことですか?

 <坪拾いで切妻屋根を作ると、必ず軒と軒の中央に棟が配置されます。
なぜなら、切妻で同じ軒高・同じ勾配であれば、必ず棟は中央にできるからです。
しかし軒の高さが異なっていると、棟は中央ではなくなります。
軒高さが同じになる位置までケラバを延長(縮小)して、その位置までの距離を桁上げ(下げ)の寸法として設定する必要があります。

 <この寸法は棟の位置から平面図の寸法を元に比率計算してもよいですし、図面と三角スケールがある場合は測って導き出してもよいでしょう。
どうしても分からない場合は、坪拾いで求めることも可能です。裏技をご紹介します!


桁上げ下げの寸法を決める裏技

下図の物件を例にご説明します。
この物件はシンプルな切妻ですが、南北で軒の高さが異なるため、桁上げ下げが必要です。

まずは外壁線を作成し、東西の切妻として設定します。

今回は南の軒の高さを基準とします。
北の軒は基準より高い位置にあることが分かります。
つまり桁上げが必要になります。

しかし北側の軒をどれだけ桁上げしたらいいのか…
桁上げに関する寸法は特に図面に記載がないため、判断が難しいです。

ここからが今回のポイントです!
立面図を取り込んで、桁上げする長さを測りましょう。

桁上げの長さを測る方法

①桁の高さが分かる面の立面図を坪拾いに取り込みます。(スケール設定必須!)
棟の位置に縦グリッド・基準の軒高の位置に横グリッドを入れます。
※グリッドの入力方法はこちらを参照してください

②軒の高さの縦グリッドをコピーし、建物のモジュール間隔で配置していきます。

③最後に桁上げする面のケラバを部材配置画面でなぞり、延長していきます。
ケラバの中心をなぞっていくのがポイントです。
延長したケラバと横グリッドが交わる点を確認し、壁芯からの水平距離を縦グリッドで確認します。
壁芯から交点までの水平距離=桁上げ(下げ)の寸法となります。この例の場合は3640mmということが分かります。
※計測が終わったら入力した部材は削除してください。

【桁上げ・下げ】で、「桁を上げる・3640mm」で設定したら、完成です!


補足:北の軒を基準として測り、南を3640mm桁下げしてもOKですよ!


桁上げ下げに関する関連記事

【坪拾い】屋根伏せ:棟の位置を変えたい
【坪拾い】屋根伏せ:母屋下がりの設定方法




【坪拾い】屋根伏せ:部屋の上にかからない下屋(庇)

屋根伏せ図モードにおいて、下図のような部屋の上にかからない下屋の取り方をご説明します。

61-1

通常、1階の部屋の上に載っている下屋なら1階の部屋の外壁線を入力します。
しかし部屋の上にかからない庇状態の下屋は、どうやって書いたらいいか迷われる方も多いのではないでしょうか。

61-2


設定方法

庇を取る場合のポイントは「出幅を含めた屋根の形を外壁線として書く」です!

まずは【外壁線入力】を行います。
外壁線は、出幅の数値も含めた屋根自体の寸法で書きます。
壁取り合いの袖部分も含めて書きましょう。

【辺ごとに設定】を選びます。
先に属性設定を行います。軒・袖・片流れの出幅は「0」にしてください。
辺ごとに「軒」や「袖」の指定をします。赤くなったラインに対して指定していきます。
※片流れ屋根で設定した後に【軒袖変更】してもOKです!

【屋根材割付】で割り付けて完成です。
今回の屋根は自動で屋根材配置できます。


1階の部屋は離れていて、屋根がつながっている形状の場合もこの方法で入力します。

61-6



【坪拾い】屋根伏せ:外壁線入力を修正する(編集・オフセット)

外壁線確定後に外壁線の間違いに気が付いた場合、削除して1から書き直していませんか?
部分的な変更の場合は、外壁線の【編集】【オフセット】を使うのが便利です。




【編集】の使い方

編集は、外壁線の多角形入力を一部だけやり直す機能です。
外壁線の頂点数を変更するのに便利です。

例:下図のような屋根伏せ
北面の軒の外壁線を一直線にしたが、実際は一部バルコニーのため軒が内に入る。
外壁線が不要な部分(赤い点線部分)を編集します。

【屋根形状設定】【編集】をクリックします。

外壁線のみの表示になります。

編集したい辺を含む頂点を二か所選択します。
まず、始点を決めてクリックします。赤い点が表示されます。

外壁線の上に矢印が出てきます。マウスを動かした方に表示されますので、
矢印が進行方向に向いたところでクリックします。

終点を決めてクリックします。青い点が表示されます。

[外壁線作成]の画面が出てきます。
外壁線入力の要領で、赤い点から青い点までの寸法を入力します。
例:「5460」と入力、キーボードの矢印キー【←】

例:「910」と入力、キーボードの矢印キー【↓】

例:「3640」と入力、キーボードの矢印キー【←】

最後は数字を入れずにEnterキーを押します。
終点の青い点までを結んだ形が完成します。

屋根形状設定で、屋根の形状を再度設定してください。

※軒袖変更や桁上げ下げなどが必要な場合は再度行ってください。


【オフセット】の使い方

オフセットは、外壁線の一部を伸ばしたり縮めたりする機能です。
頂点数はそのまま、一部の寸法だけを変えたい場合に便利です。

例:下図のような屋根伏せ
東の軒の長さを2730mmの外壁線で確定したが、実際は1820mmだった。
外壁線が長すぎる部分(赤い点線部分)をオフセットします。

【屋根形状設定】【オフセット】をクリックします。

オフセットしたい外壁線をクリックします。
オフセットする分の寸法を入力→矢印で方向を指定します。(キーボードの矢印キーでも方向を指定できます。)

屋根形状設定で、屋根の形状を再度設定してください。

※軒袖変更や桁上げ下げなどが必要な場合は再度行ってください。




【坪拾い】屋根伏せ:母屋下がりの設定方法

坪拾い屋根伏せ図モードにおいて、母屋下がりを設定する方法です。

母屋下がり(もやさがり)とは:
外側の桁の天端が、他の桁よりも下がった状態のこと。
母屋下がりがあると、下図のようにケラバが付き軒が下がっている形状の屋根になります。
図面によっては立面図や平面図に母屋下がりの寸法が記載されている場合もあります。


設定方法

下図の物件を例に説明します。
この物件の屋根は、南側の桁が一部母屋下がりになっています。
東西面を見るとその部分だけ2階軒高より下がっていることが分かります。
また東立面図に「母屋下り」という900mmの寸法線があります。これは外壁端の900mm内側から母屋下がりになることを表します。

作図手順

通常の寄棟形状で屋根を作成します。

左側のメニューから【桁上げ・下げ】ボタンを押し、母屋下がりの軒のラインをクリックします。
桁上げ下げ設定画面が出たら、桁を下げる・900mm で設定しOKを押します。
これだけで母屋下がりの設定完了です!


ワンポイント:袖(けらば)の設定はいらないの?

母屋下がりの部分は斜めの袖(けらば)になっています。
【軒袖変更】モードで「袖」にするべきでは?と考えられますが、桁下げの設定だけでOKです。

桁下げをした段階で、システムが母屋下がりの形状と判定し、自動でけらばを付けてくれます!