【坪拾い】屋根伏せ:桁上げ・下げの寸法が分からない時の裏技

 <軒の高さが違う屋根を書きたいですが、いくら桁上げ下げしたらいいか図面に記載がないので分かりません…

 <基本的に桁上げ・下げは軒と軒の中央に棟が配置されるように計算して桁を上げる(下げる)のが鉄則です。

 <軒と軒の中央に棟が配置されるように、とはどういうことですか?

 <坪拾いで切妻屋根を作ると、必ず軒と軒の中央に棟が配置されます。
なぜなら、切妻で同じ軒高・同じ勾配であれば、必ず棟は中央にできるからです。
しかし軒の高さが異なっていると、棟は中央ではなくなります。
軒高さが同じになる位置までケラバを延長(縮小)して、その位置までの距離を桁上げ(下げ)の寸法として設定する必要があります。

 <この寸法は棟の位置から平面図の寸法を元に比率計算してもよいですし、図面と三角スケールがある場合は測って導き出してもよいでしょう。
どうしても分からない場合は、坪拾いで求めることも可能です。裏技をご紹介します!


桁上げ下げの寸法を決める裏技

下図の物件を例にご説明します。
この物件はシンプルな切妻ですが、南北で軒の高さが異なるため、桁上げ下げが必要です。

まずは外壁線を作成し、東西の切妻として設定します。

今回は南の軒の高さを基準とします。
北の軒は基準より高い位置にあることが分かります。
つまり桁上げが必要になります。

しかし北側の軒をどれだけ桁上げしたらいいのか…
桁上げに関する寸法は特に図面に記載がないため、判断が難しいです。

ここからが今回のポイントです!
立面図を取り込んで、桁上げする長さを測りましょう。

桁上げの長さを測る方法

①桁の高さが分かる面の立面図を坪拾いに取り込みます。(スケール設定必須!)
棟の位置に縦グリッド・基準の軒高の位置に横グリッドを入れます。
※グリッドの入力方法はこちらを参照してください

②軒の高さの縦グリッドをコピーし、建物のモジュール間隔で配置していきます。

③最後に桁上げする面のケラバを部材配置画面でなぞり、延長していきます。
ケラバの中心をなぞっていくのがポイントです。
延長したケラバと横グリッドが交わる点を確認し、壁芯からの水平距離を縦グリッドで確認します。
壁芯から交点までの水平距離=桁上げ(下げ)の寸法となります。この例の場合は3640mmということが分かります。
※計測が終わったら入力した部材は削除してください。

【桁上げ・下げ】で、「桁を上げる・3640mm」で設定したら、完成です!


補足:北の軒を基準として測り、南を3640mm桁下げしてもOKですよ!


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【坪拾い】屋根伏せ:母屋下がりの設定方法




【坪拾い】屋根伏せ:部屋の上にかからない下屋(庇)

屋根伏せ図モードにおいて、下図のような部屋の上にかからない下屋の取り方をご説明します。

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通常、1階の部屋の上に載っている下屋なら1階の部屋の外壁線を入力します。
しかし部屋の上にかからない庇状態の下屋は、どうやって書いたらいいか迷われる方も多いのではないでしょうか。

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設定方法

庇を取る場合のポイントは「出幅を含めた屋根の形を外壁線として書く」です!

まずは【外壁線入力】を行います。
外壁線は、出幅の数値も含めた屋根自体の寸法で書きます。
壁取り合いの袖部分も含めて書きましょう。

【辺ごとに設定】を選びます。
先に属性設定を行います。軒・袖・片流れの出幅は「0」にしてください。
辺ごとに「軒」や「袖」の指定をします。赤くなったラインに対して指定していきます。
※片流れ屋根で設定した後に【軒袖変更】してもOKです!

【屋根材割付】で割り付けて完成です。
今回の屋根は自動で屋根材配置できます。


1階の部屋は離れていて、屋根がつながっている形状の場合もこの方法で入力します。

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【坪拾い】屋根伏せ:外壁線入力を修正する(編集・オフセット)

外壁線確定後に外壁線の間違いに気が付いた場合、削除して1から書き直していませんか?
部分的な変更の場合は、外壁線の【編集】【オフセット】を使うのが便利です。




【編集】の使い方

編集は、外壁線の多角形入力を一部だけやり直す機能です。
外壁線の頂点数を変更するのに便利です。

例:下図のような屋根伏せ
北面の軒の外壁線を一直線にしたが、実際は一部バルコニーのため軒が内に入る。
外壁線が不要な部分(赤い点線部分)を編集します。

【屋根形状設定】【編集】をクリックします。

外壁線のみの表示になります。

編集したい辺を含む頂点を二か所選択します。
まず、始点を決めてクリックします。赤い点が表示されます。

外壁線の上に矢印が出てきます。マウスを動かした方に表示されますので、
矢印が進行方向に向いたところでクリックします。

終点を決めてクリックします。青い点が表示されます。

[外壁線作成]の画面が出てきます。
外壁線入力の要領で、赤い点から青い点までの寸法を入力します。
例:「5460」と入力、キーボードの矢印キー【←】

例:「910」と入力、キーボードの矢印キー【↓】

例:「3640」と入力、キーボードの矢印キー【←】

最後は数字を入れずにEnterキーを押します。
終点の青い点までを結んだ形が完成します。

屋根形状設定で、屋根の形状を再度設定してください。

※軒袖変更や桁上げ下げなどが必要な場合は再度行ってください。


【オフセット】の使い方

オフセットは、外壁線の一部を伸ばしたり縮めたりする機能です。
頂点数はそのまま、一部の寸法だけを変えたい場合に便利です。

例:下図のような屋根伏せ
東の軒の長さを2730mmの外壁線で確定したが、実際は1820mmだった。
外壁線が長すぎる部分(赤い点線部分)をオフセットします。

【屋根形状設定】【オフセット】をクリックします。

オフセットしたい外壁線をクリックします。
オフセットする分の寸法を入力→矢印で方向を指定します。(キーボードの矢印キーでも方向を指定できます。)

屋根形状設定で、屋根の形状を再度設定してください。

※軒袖変更や桁上げ下げなどが必要な場合は再度行ってください。




【坪拾い】屋根伏せ:母屋下がりの設定方法

坪拾い屋根伏せ図モードにおいて、母屋下がりを設定する方法です。

母屋下がり(もやさがり)とは:
外側の桁の天端が、他の桁よりも下がった状態のこと。
母屋下がりがあると、下図のようにケラバが付き軒が下がっている形状の屋根になります。
図面によっては立面図や平面図に母屋下がりの寸法が記載されている場合もあります。


設定方法

下図の物件を例に説明します。
この物件の屋根は、南側の桁が一部母屋下がりになっています。
東西面を見るとその部分だけ2階軒高より下がっていることが分かります。
また東立面図に「母屋下り」という900mmの寸法線があります。これは外壁端の900mm内側から母屋下がりになることを表します。

作図手順

通常の寄棟形状で屋根を作成します。

左側のメニューから【桁上げ・下げ】ボタンを押し、母屋下がりの軒のラインをクリックします。
桁上げ下げ設定画面が出たら、桁を下げる・900mm で設定しOKを押します。
これだけで母屋下がりの設定完了です!


ワンポイント:袖(けらば)の設定はいらないの?

母屋下がりの部分は斜めの袖(けらば)になっています。
【軒袖変更】モードで「袖」にするべきでは?と考えられますが、桁下げの設定だけでOKです。

桁下げをした段階で、システムが母屋下がりの形状と判定し、自動でけらばを付けてくれます!




【坪拾い】屋根伏せ拾い出し練習問題④:同一外壁線上に軒と袖がある

練習問題前に… 屋根伏せ図モードを初めて使われる方へ

まずは屋根伏せファーストステップマニュアルで基本機能をチェックしてください!

ダウンロードはこちらから
※カスタマIDのログインが必要です。


練習問題4

屋根伏せ図モード機能習得のための、練習問題をご用意しました。
難易度 ★★★☆☆
作図時間目安 15分~20分

ぜひ図面をダウンロードしてチャレンジしてみてください。
図面→ https://software.sanyu-apps.com/download/yanefuse/yanefusepractice4.pdf
答え合わせと手順は下記に記載します。


☆この伏せ図を作るポイント

①軒と袖が変わる箇所で外壁線を区切る
②出幅込みで下屋を作成


答え合わせ

↓完成図

↓積算結果 ※拾出表示にしています


作成手順

1.大屋根(2F屋根)の作成

① 2Fの平面図を参考に、外壁を作成します。
この物件の場合、西面の屋根の形状に着目します。
西面は壁のラインは一直線ですが、屋根は途中まで軒、途中から袖(ケラバ)になります。

このように屋根の属性が切り替わる場合は、外壁線も分割して作図します。
(1500↑ 5500↑ と分けてサイズ入力)

②屋根形状設定は、
勾配6寸 出幅400mm 寄棟
で設定します。

③【軒袖変更】を選択します。
南と東西の切妻部分を「袖」に変更します。これで大屋根は完成です。

2.下屋1(1F屋根)の作成

①西面の下屋を作図します。
【外壁線入力】の四角形入力で、縦7000mm、横500mmの外壁線を作成します。
勾配、出幅はそのままで、西向きの流れの形状で作成します。

②【軒袖変更】で壁取り合いを設定します。
今回は「袖あり」の400mmで設定します。下屋1完成です。

3.下屋2(1F屋根)の作成

①次に東面の下屋(玄関上の屋根)を作図します。
この屋根は1階の外壁ラインより外側に屋根が付きます。

このような場合は、壁のラインをそのまま外壁線としてを取ることが難しいため、
屋根のラインを外壁線として作図していきます。
【屋根形状設定】では、出幅はすべて0mmに設定します。

【軒袖変更】で壁にぶつかるラインを「壁取合」に設定し、完成です。

【屋根材割付】ボタンを押して、屋根材を配置したら完了です。


その他の練習問題

練習問題①
練習問題②
練習問題③




【坪拾い】屋根伏せ拾い出し練習問題③:異勾配屋根

練習問題前に… 屋根伏せ図モードを初めて使われる方へ

まずは屋根伏せファーストステップマニュアルで基本機能をチェックしてください!

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※カスタマIDのログインが必要です。


練習問題3

屋根伏せ図モード機能習得のための、練習問題をご用意しました。
難易度 ★★☆☆☆
作図時間目安 5分以内

ぜひ図面をダウンロードしてチャレンジしてみてください。
図面→ https://software.sanyu-apps.com/download/yanefuse/yanefusepractice3.pdf
答え合わせと手順は下記に記載します。


☆この伏せ図を作るポイント

①屋根の出幅込みで外壁線を作成
②軒袖変更で異勾配設定


答え合わせ

↓完成図

↓積算結果 ※拾出表示にしています


作成手順

①平屋のため、1Fの平面図を確認します。
今回は、平面図上の寸法に屋根の出幅500mmをプラスした値で外壁線を作図します。

②屋根形状設定画面を設定します。
勾配:   7寸
軒出幅:  0mm(外壁線に出幅を含めたため)
袖出幅:  0mm(外壁線に出幅を含めたため)
屋根形状: 寄棟

【軒袖変更】を設定します。
西側の軒を「袖」に変更します。

④東側の軒については、「軒」の12.5寸に変更して設定します。

【屋根材割付】ボタンを押して、屋根材を配置したら完了です。


補足:なぜ出幅を込みで外壁線を取るのか?

坪拾いでは基本的に、外壁線の角を隅棟が通るように作図されます。
異勾配の場合は、隅棟の角度が変わる影響で隅棟が屋根の角を通らなくなってしまいます。
そのため外壁線を屋根のラインで取ることで、屋根の角から隅棟を配置できるようになります。

外壁線入力は必ずしも壁の寸法で書かないといけないという決まりはありません。
最終的な屋根の形が一致するように工夫するのがポイントです。


その他の練習問題

練習問題①
練習問題②
→NEXT 練習問題④