【平兵衛くん防水改修版】『屋根立面図』の拾い精度をあげる方法



◆こちらの記事を読む前に…

屋根のモードは屋根の勾配によって使い分けていただくことをお勧めしています。

平兵衛くんのソフトでは、手拾いと同様に、面積に対して勾配係数を後から掛けて屋根面積を算出しています。
どちらのモードも同じ操作で屋根面積や役物が拾えますが、同じサイズの面積を入力したとしても積算結果の㎡は異なります。理由は後から掛けられる勾配係数が違うためです。
勾配係数は、
 ・立面図の場合 :勾配が緩いほど大きく、きつくなるにつれて小さくなる
 ・屋根伏図の場合:勾配が緩いほど小さく、きつくなるにつれて大きくなる
ようにシステムで設定されています。

例えば立面図の場合、勾配が緩やかな屋根は、実際の屋根面積よりもが見えている部分がほぼありません。それに対して掛けられる勾配係数は、勾配が緩やかになるほど大きくなります。

そのため、面積を入力する際のクリック位置のズレに対し、大きな勾配係数が掛けらることで、その差が開いていってしまうのです。

参考記事:屋根立面図モードと屋根伏図モードの違い


本記事では、上記の内容をご理解いただいたうえで、4寸以下の屋根を立面図モードで拾われるお客様に向け、拾いの精度を上げる方法をご紹介いたします。

◆ポイント1 面積の横幅をサイズ指定する

1.入力した屋根面積を右クリックし、【サイズ変更】を選択します。

2.サイズ変更画面が表示されます。クリックで入力された屋根面積のサイズそのまま(=勾配なし)が表示されています。
このとき軒などの長さが計算で求められる場合は、現在表示されている数値と見比べてみましょう。
スケール設定が間違っていなければ、そこまで大きな差はないはずです。サイズが分かる場合は数値自体を正しい数値に打ち換えて【OK】を押します。

(なぞったサイズが横幅17㎜ズレているため、修正している図)

もし大幅にサイズが異なる場合は、スケール設定を見直してみましょう。
参考:スケール設定をやり直す


◆ポイント2 屋根の『流れ長さ』を設定する ※立面モード専用機能

流れ長さを測定する

ポイント1では、面積の横幅をサイズ指定しました。次は縦幅をサイズ指定したいところですよね。
しかしサイズ変更画面で出ている縦幅の数値は、図面をよく見てもサイズが分からないことが多く、本来の面積のサイズには関係ない数値のため、一旦無視します。
ここで注目するのは『流れ長さ』です。『流れ長さ』は、けらばの長さです。流れ長さも図面に載っていないことの方が多いですが、坪拾いの【マウス距離測定】を利用することで測ることが可能です。面積を入力した側面の図面から測ってみましょう。

下図のような南立面図の面積の流れ長さは、西立面図や東立面図から測ることが出来ます。

※マウス距離測定は、クリックした2点間の距離を測るため、多少の誤差は生じます。不安な場合は数回測って平均値を取ってみて下さい。

(マウス距離測定を使用している図)

流れ長さの設定方法

先ほど【マウス距離測定】で測った『流れ長さ』を設定します。

1.入力した屋根面積を右クリックし、【サイズ変更】を選択します。

2.サイズ変更画面が表示されます。サイズ変更画面の左下にある【流れ変更】を選択します。

3.流れ長さの数値を変更し、【OK】を押します。

(流れ長さを5115㎜に変更している図)

4.縦のサイズが流れ長さに沿って変更されます。
面積の見た目が変わるかもしれませんが、問題ございません。

流れ長さを入力することで勾配が緩い場合でも誤差をなくし、精度アップにつながります!




【坪拾い】屋根伏せ:同一外壁線上に壁取合とケラバがある屋根

こんな感じで下屋を書きたいんですけど・・・

    外壁を区切って軒袖変更してもうまくいきません・・・

同一線上に壁取合と袖は設定できないのです・・・ごめんなさい。
外壁線の取り方を工夫すれば自動作成は可能ですので、やり方を2つご紹介しますね。


方法その1:ケラバ部分は軒出幅で設定

実際はケラバ部分にも外壁がありますが、あえて壁取合の部分まで外壁線作成します。

軒袖変更で壁取合(袖あり)を2か所設定した後、軒の出幅を変更します。
今回の例の場合、軒の出幅は本来300㎜ですが、ケラバ分の外壁線を910㎜削っている為、出幅は910㎜+300㎜=1210㎜で設定します。


方法その2:出幅込みで外壁線を書く

出幅を含めた形で外壁線を作ります。
屋根形状設定では軒・袖・片流れの出幅はすべて0にします。
屋根形状設定後に【軒袖変更】で壁取合を設定するのを忘れずに。(「袖なし」でOK)




【平兵衛くん防水改修版】屋根立面図モードと屋根伏図モードの違い

平兵衛くんでの屋根の拾い方は2種類あります。
「立面図モード」と「屋根伏図モード」です。
2つのモードの違いをご説明します。


立面図モード

立面図を読み込ませ、屋根の絵をなぞることで拾い出します。(操作方法は屋根伏図と同じです。)

立面図からの拾い方

①拾い出す項目を選択します。
②入力方法を選択します。
③勾配を設定します。
④図面上をクリックでなぞります。

立面図モードを使うメリット・デメリット

◇メリット
・竪樋まで拾える

◇デメリット
・勾配の緩い屋根ほど、クリックのずれによる面積誤差が大きくなる
・隠れている部分が拾い漏れる可能性がある


屋根伏図モード

屋根伏図を読み込ませ、屋根の絵をなぞることで拾い出します。(操作方法は立面図と同じです。)

屋根伏図からの拾い方

①拾い出す項目を選択します。
②入力方法を選択します。
③勾配を設定します。
④図面上をクリックでなぞります。

屋根伏図モードを使うメリット・デメリット

◇メリット
・屋根の全体が見えている、拾いの重複や漏れが起きにくい

◇デメリット
・勾配の急な屋根ほど、クリックのずれによる面積誤差が大きくなる
・立面図や平面図と違い、屋根伏図は図面自体が用意されていないことが多い


<操作は同じなので、手元にある図面と勾配の緩急でどちらを使うかを決めたらいいですね!
個人的には立面図だと谷を拾い忘れてしまうので、伏図の方が好みです。平面図にうっすら屋根伏図の線が書かれていることもあるので、それを屋根伏図として使うこともあります!

<屋根モードを選ぶときの注意点として、読み込む図面と拾うモードをしっかり一致させることが重要です!
異なる図面のモードで拾うと計算が合わなくなりますので、モード選択のときはしっかり確認してからスタートしてくださいね。




【坪拾い】割付を中央から行う(センター割・センターまたぎ)

坪拾いで板金を拾っています!
左右均等になるように割付をしたいのですが、いい方法はありますか?

はい。坪拾いの「自動縦目地移動」がおすすめです。
自動で「センターまたぎ」「センター割り」の割付を行ってくれます。


設定方法

坪拾いで面積を配置すると、面積の左下を基準に割付されます。

割付をセンターにするために、自動縦目地移動機能を使います。
面積を右クリックし、「自動縦目地移動」をクリックします。

センターまたぎ・センター割りを選択する画面が表示されます。
ボタンを押すと、軒の中央から(※屋根の場合)割り付ける形に自動で変わります。 

センターまたぎ:板の中央がセンターになります
センター割り:板と板の境目
がセンターになります

※軒が二段以上になっている場合は、軒全体の長さのセンターになります。


外壁モードで設定する際の注意点

外壁モードで自動縦目地移動を設定した場合、面積の一番高い位置の中心をセンターとして扱います。
形状によっては面積の中央=センターにならないケースもありますのでご注意ください。




【坪拾い】屋根伏せ:「桁上げ・下げ」機能を使いこなそう!特訓用練習問題

屋根伏せ図モードの【桁上げ・下げ】機能が難しくてなかなか使いこなせません。

「桁上げ・下げが難しい!」という声はよくユーザー様から頂きます。
母屋下がりを設定したり、棟を移動させたり、さまざまな働きがあるので覚えるのが大変かもしれませんね。
屋根伏せ図モードの習得は物件数をこなしていただくのが一番の近道です。
「桁上げ・下げ」を使った例題を4つ用意しましたので、特訓してみませんか?
徐々に難易度を上げていきますよ~


桁上げ下げ 練習問題一覧

問題の図面、解説(作図のポイント)、完成図を用意しています。
+ボタンを押すとレベルごとに表示されます。

図面をダウンロード → 坪拾いの屋根伏せ図モードで作ってみる → 解説と完成図で答え合わせ
の流れでチャレンジしてみてください。


c Expand All C Collapse All

※【桁上げ・下げ】を使うのは大屋根のみです

図面ダウンロード


解説

★この屋根の作図ポイント
母屋下がり部分を桁下げする!

この屋根は南側の一部の軒が落ちている形状となっております。
立面図の東面にも「母屋下り」900mmの寸法が記載されています。
母屋下がりは桁下げで設定できます。下がっている軒を選び、「桁下げ・900mm」で設定しましょう。

※母屋下がりについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

完成図

図面ダウンロード


解説

★この屋根の作図ポイント
桁上げをして棟の位置を揃え、バラバラの面を一面にする!

今回は南側の一面の軒が他の軒の高さより上がっていることが分かります。
そのためその軒を「桁上げ」する必要があります。
桁上げする寸法としては、基準の軒の高さの位置と揃えてあげるのがポイントです。

※桁上げ下げで棟を揃える方法についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

完成図

レベル1・2の操作を組み合わせたような屋根です。難易度アップ!

図面ダウンロード


解説

★この屋根の作図ポイント
南面と北面の軒を桁上げ、かつ北面の母屋下がりを桁下げに設定する

北側の母屋下がりが900mmと指定がありますので、桁下げ900mmで設定します。

基準となる2Fの軒高より高い位置にある軒は、桁上げを設定するのがポイントです。
今回の図面では、南と北の軒にそれぞれ桁上げが必要です。

完成図

最後はチャレンジ問題。
一見複雑ですが、軒袖変更と桁上げがしっかりできていればシンプルな操作で完成します。

図面ダウンロード


解説

★この屋根の作図ポイント
切妻部分を袖に設定

桁上げする軒を見極める!

まずは桁上げ下げをする前に、軒袖変更です。
東面、北面から確認できる切妻部分を「袖」に設定しましょう。

※西側のケラバ(ピンクで囲んだ袖)はのちの桁上げで自動的にケラバになるため設定してもしなくてもどちらでもOK。
現状の棟の位置を分かりやすくするために設定しています。

次に南面、東面、北面の基準より高くなっている軒を「桁上げ」します。
基準の位置の軒に合わせてクリックで揃えましょう。

桁上げする場所が分かりづらい方は、どの位置に棟を動かしたいか、で考えるもの1つの方法です。
坪拾いでは必ず軒と軒の中央になるように棟が配置されますので、動かしたい棟の位置から桁上げ・桁下げの位置を逆算して考えて動かす、でもよいでしょう。

完成図



レベル1~4の各屋根の作図手順を1から答え合わせしたい場合は、下記資料をご確認ください。

レベル1~4 屋根伏せ作図手順.pdf




【坪拾い】屋根伏せ:片流れ屋根の線がうまく描画されないときは

下の図のような南向きの片流れ屋根を作ったのですが、屋根の線が出てこないです。
屋根材割付をしても何も配置されません…
どうしたらいいでしょうか⁉

申し訳ございません…。凹凸のある屋根の場合、片流れでもうまく線が描画されない場合がございます。
このような場合の対処法をご案内しますね。


片流れ屋根の線が描画されないときの対処法

補助線画面へ】を押して進みます。

【軒線作成】を選択します。
赤く表示された外壁線の属性を1つずつ選んで設定してください。
属性ボタンを押すときは、勾配・出幅を正しい数値に合わせながら設定します。
すべて選択し終えると、外壁線の周りに屋根の補助線が表示されます。

補助線を使った場合、屋根材の自動割付はできません。
【部材配置】モードに切り替えます。
「屋根面積」を選択し、[多角形]モードで先ほど作った補助線の頂点をなぞっていきます。(※勾配注意!)
始点の1点前の点でダブルクリックすると、面積確定となります。

面積を配置し終えたら、最後に【部材配置】をクリックします。
【軒線作成】で設定した属性の役物が自動で配置されます。


補足
面積を手動入力すると面積の流れ方向が必ず上下方向になります。
左右の流れ方向に設定したい場合は、面積を右クリックして「張り方回転」をします。
90度で[OK]を押してください。(斜めの割付はできません)