建物3Dモデリングを設計・施工に一貫活用-情報共有など容易に

大林組は2018年度末までに、同社が設計・施工する全ての建物で、建物の3次元(3D)モデリング技術であるビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)を設計・施工の両工程を通じ一貫して活用する。設計で入力した建物の情報を施工でも利用することで、情報の活用・共有化が容易になり、設計変更にも迅速に対応できる。現場業務を効率化し、生産性向上を実現していく。

BIMはコンピューター上に作成した3Dの建物に建材の数量や寸法、材質などの属性情報をひも付けした技術。2Dの図面と比べて視覚的に把握しやすく、複雑な建物の構造や入り組んだ配管などを確認するのに威力を発揮する。設計を変更する場合にも、画面上でさまざまにシミュレーションできるといったメリットがある。

大林組は15年度までに自社が設計・施工する建物については、設計・施工の両工程、設計または施工のみでBIMを導入した。使い方は現場によりさまざまで、ある現場では建物の3Dモデルを示して、工事関係者の情報共有に使う。また、他の現場では、施工をシミュレーションして最適な施工の段取りを組むなど、担当者の習熟度や工事内容により使われ方が異なっていた。

ただ、BIMの効果を最大化するには、建物の設計、施工の一連の工程で、BIM情報を一貫して活用した方が効率的。現場の習熟度も高まり生産性を向上できる。また、建物完成後の維持・管理にもBIM情報を有効活用でき、顧客の建物の維持・管理業務を効率化できる。
建設現場では技能者不足が進む。ITなどを活用した生産性向上が必須の課題になっている。
(日刊工業新聞2016/8/30)