女性現場技術者を3割増員-活躍環境を整備

建設現場での人手不足を受けて、女性の活躍を進める動きが増えています。実際の現場の方の意見を取り入れながら、女性も働きやすい環境が整えられつつあるようです。

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大和ハウス工業は2017年度、一戸建て住宅などの建設現場で施工管理に当たる女性技術者を、現在と比べ3割増員する。環境整備の一環で女性向けヘルメットや安全帯などの保護具を開発し、採用を始めた。建設業界ではゼネコンなどの業界団体である日本建設業連合会(日建連)が先行して、女性に配慮した現場環境づくりを進めている。住宅メーカーも、これに追随して建設現場での女性活用を加速させる。

大和ハウス工業の女性現場技術者は、現在約100人。17年4月入社の採用計画は総数の810人中、女性技術職は250人で、うち30人が現場配属の予定だ。女性の現場技術者拡大は、施主や近隣とのコミュニケーション、現場環境の改善などに女性の視点を積極的に取り入れるのが主な狙い。住宅の特性上、きめ細かな配慮が顧客満足度につながるとあって、女性への期待は大きい。

同社の従来の女性活躍推進策は、勤務時間短縮など勤務制度の充実に主眼が置かれていた。一方、現場で女性が安全、快適に作業するにはハード面が不十分といった課題もあった。特に女性用保護具は、満足できる市販品がなかった。

このため女性の頭のサイズに合わせ、通気性を工夫し、額部分の当て布の取り外しや、紫外線・あごヒモやけ対策も施したヘルメットを企画。また、軽量でフィット感やデザイン性に配慮した安全帯も、メーカーと共同開発した。

大和ハウスはグループ各社や協力会社にも、女性用保護具の採用を提案する。住宅メーカーなどで構成する全国低層住宅労務安全協議会(全国低住協)でも、ノウハウの共有を始めた。

日建連が女性技術者の愛称を「けんせつ小町」と名付けたのにならい、全国低住協は「じゅうたく小町」として女性活躍推進に取り組む。

(日刊工業新聞2016/8/24)